2010年6月ごろ

あの頃は、居場所を探していた。長く安全に居られる場所。それでいて1人ではない場所。そんな場所はお金を払うことでしか手に入らない。今でも安全な場所は欲しいと思うけれど。

iPodにラジオを詰め込んで外に出ていた。完全な1人にはなれなかった。それでも、とにかく1人でどうにかしていた。深いところで寄り添ってもらうことはなかった。

サッカーのW杯をやっていて、ちょこちょこ観ていた。楽しかったのかは覚えていない。ハイライトとしては覚えている。それでも、試合全体を覚えてはいない。緊張感とともにあの90分を叩き込む感覚はなくなっていた。途切れ途切れにしかものごとを感じられなくなっていた。

居場所の話。

いくつか候補はあった。そもそも何故に居場所を求めていたのだろうか。淋しかったから、気分転換をしたかったから、はっきりはしない。今になって考えると、集中したかったのだと思う。自分で向き合うために集中することが必要だった。近所のイオンのサンマルクスターバックス、そういう場所を必要としていた。要は集中して何かをやる場所を求めていたのだ。

集中して何をしたかったのか?文章をとりわけ小説を書きたかった。何者かになりたかったし、その方法がわからなかった。

たまのジムのプールで泳いだりなどして、どうにか生きていたんだと思う。身体を動かすのもつらい時期だったけれど、暇で色々できたので、あの頃のことが一番身体に残っている。いつかもう一度あの時間を取り戻したいと思う。そう願う。