つらい

つらいことを経験すると、ふつうのことが楽に思えてくる、とかはウソではないかと思う。

本当につらいことは、傷つくことであり、傷つくのは大切なものがあるからだ。大切なものほど離れがたく、忘れがたく、失敗したくない。そうやって怯えた状態はつらいけれど、大切なものがなければ、この状態はやってこない。ふつうになるということは特に大切なことがない。

だから、ふつうのことというのは、楽なのではなくて、単に味気ないだけなのだ。