マーク・ジェイコブス

マーク・ジェイコブスの名前は知っていても、それが何なのかは知らなかった。それ、と書いたのは、ファッションのブランド名と人の名前くらいの認識しかなかったからで、どこか遠い世界で起こっている「何か」くらいに感じていたからだ。

でも、今はマーク・ジェイコブスが何者なのかを知っているし、彼がつくり出すコレクションがどんなものなのかも知っている。

いいよね、マーク・ジェイコブス。彼はルイヴィトンのクリエイティブディレクターをやっていたんだ。ヘビースモーカーで、ドラッグもやって、ニルヴァーナのエネルギーで目を覚ました経験もあるし、自分の会社を倒産させてしまったこともある。

重要なのは、マーク・ジェイコブスのつくるコレクションに何かが宿っているってことだ。そしてショーのときの音楽がいい。音楽ってものを知っている。

さて、ある日目が覚めてマーク・ジェイコブスになっていたら、あなたならどうする?ニューヨークでのショーは2週間後に迫っている。スタッフにデザインの指示をして人を動かして、ルックを完成させる必要がある。ショーは全世界の人の目に触れることになり、最前列にはアナ・ウインターが座る。

エキサイティング?こわい?

ふと思った教訓は、自分のなりたいものには時間をかけながらきちんとなりきった方がいいってことだ。

そのための時間くらいは人生に用意されている。